2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

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日に日に高まるあれこれの源流はさまざまで、分析されてたまるか、と思った。渦を巻く眼、数えること、繰り返し、くり正しく誤った表情、などを見た、このうちのどれだけを明日まで、来週まで覚えていられるだろうと不安になる。ちゃんと着いていかなくては…

1125

雨が降っていた。図書館に行った。怪しげな題の重たい本を三冊借りる。何ひとつ終わっていないのに。完全なキャパシティオーバー。枕元の積み本がまた増える。ひとり暮らしのころは寝床が低かったから、もっとたくさんの本が積んであって何ならパソコンの充…

1124

やっと本を返した。送料がそれなりにかかるなと思った。するはずだったことは全然進まなかった。きのうもきょうも夕方になると重たくて柔らかい眠気に頭蓋を覆われるようにして寝てしまうということがあって、きょうはきのうよりもさらにそれが酷く、しかも…

1123

昨夜、一冊本を読み終えた。好きな文章を書く人から好きな小説を聞き出して、それを少しずつ手に取ることをさいきんはしていて、それを毎晩寝る前に少しずつ読んでいたのだった。(まだやくしまるえつこ選書集もほとんど手付かずなので、おそらくこの遊びも…

1122

きょうは空間識失調という言葉を知った。 誰もいなかったから、南側の部屋のカーテンを閉めて過ごした。 爪に乗せて日の浅いポリッシュは順調に欠けていく。髪をばっさり切りたくなる。変な化粧をしてみたい。まつげを白く塗ったりとかしてみたい。好きで持…

1121

今日も空気は生ぬるかった、らしい。今日は一歩も外に出なかった。何をしていたっけ、とても眠たかった。少しだけ卒論の作業をして、今日は読む方の時間が長かったから特に進んだ心地もしない。 うたた寝の中で夢を見た。最近夢では毎回同じ人に会っていると…

1120

生き物の骨が白いなんて出来すぎていると思った。公園に降り落ちた枯れ葉は、子どもたちかあるいは清掃員によって帯のように集められて山脈のようになっていた。フラクタル。今日も空気はいやに生温く、風が強かった。落ち葉を踏んでいたらぼとりと音がして…

1119

夏のはじまりの頃のように暖かい日だった。地上があまりにも早く取り戻した熱は枯れ葉を炙り、ゆるんださかい目から濃く秋が香る。陽射しは季節相応に柔らかい中に異様な重みをたたえて熱を地表に流し入れている、一方で風のせいかすっかり葉の落ちてあらわ…

1118

車同士の衝突の余波に巻き込まれて亡くなった人のことを知った。それを世間話として伝えた母に返答するべく妥当な言葉を探して頭の中を巡れば、痛かっただろうな、という極めて単純な想像があった。それは口にはしなかったが、突然、予期しない重大な痛みに…

1117

昨夜寝る前。半日聴き通していた短い曲と、寝る直前に聴いた曲が不思議と調和して思考の淵を揺らしていた。どちらも初めて知って好きになった曲だった。試しに、久しぶりに意識を広げてみようと思い立つ。鼻奥から体へ、布団へ、ベッドの淵へ、そこから部屋…

1116

どうしても朝望み通りの時間に目を覚ますことができないから、今夜はカーテンを開けて寝ようと思う。知られれば嫌な顔はされるだろう、なにせここは私の家ではない。 よく晴れていたらしい。外には一歩も出なかった。自室には小さな窓があり、時間によっては…

1115

塗り固めたばかりの爪からは有機溶剤の匂いがして、顔に乗せた塗り薬のにおい、枕元に積んだ古い本の匂い、干したばかりの布団の匂いと混じって知らない場所のようになる 憂鬱を悲しさを殺してしまいたいとは思わない、生かしたままでできることなら野放しに…

1114

ここ数日の例に漏れずなかなか起きられなかったことを除いては午前中は比較的テンションが高く、ここ数日にしては順調に作業をしていた。焦りが祟ったのか午後になるとまた気が沈むようで、しかし外にでなければいけない用事が2、3あったためにどうにかし…

1112

血がざらついているみたいな重さ 食事が作業になり情けない 三人称でなら喋れると思っていたが 書くべき手紙2通・封を開くべき荷物1通・封筒を変えるべき郵便が2つ 全部事務的 蔑ろにしてきたものや大切にできなかったものがいつか牙を剥いて私は死ぬこと…

昨日今日人間の精神生活が微妙に送れていなくて、約束があってそれに対してそれなりに大きいというか他に類を見ない抵抗があったとはいえ外に出ようとして化粧をしてコートまできたところでフローリングの上で動けなくなったりとか徒歩2分の郵便局が遠くて…

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体のどこかが音を立てて、それが犬の呻き声のように聞こえるけれど越してきてから一度も、犬の足がこの家の床を空を踏んだことはない。犬どころか四つ足の生き物も、と思ったところで、例外に思い至る。妹が幼稚園か保育園だったか、どこかの夏休みでほんの…

1109

シーツを替えようと引き剥がし、丸めたあたりで意識が固まってしまう。体の動きとうまく接続しなくなって、うずくまるようにして寝ているに近い状態で昼まで過ごした。ここ数日の妙な落ち着きのなさに祟られた面と、それ以上に気の沈む働きかけに二重三重に…

1108

寝酒に失敗した、と思った。とりあえずの入眠は早めることができるし、眠りが浅まる分朝も起きやすいと思ったのでそうしたのだけれど、どうやら裏目に出たらしかった。脳の底面のあたりが淀んでいるような感覚はどうやら久しぶりな気がして、駅のホーム、真…

1107

書きたいことは山ほどあった。書かなかったのは、本当にただなんとなく気が向かなかったからで、そのなんとなくにいつか殺されてしまうだろうと思うから怖い。 瞬く間に日が短くなって、例えば夕方に外に出ようとするときすでに暗くなりかけているから気負っ…

1104

正午のあたりで妙に意識が暗く、頭が重く痛くなったのはなんだったのだろう。いつの間にか綺麗にいなくなっていた。これからずっと、つまらない夢にすがって生きていくような気がするけれど、多分それで良いのだと思ったりもするから、わたしはなるべく正気…

1103

どこまでも物体的に痛む頭と顎のあたり、おそらく食い縛りが酷くなっているのだな、と目が開いてからぼんやりと取り戻されていく意識の中で考えた。本当は6時半に一度起きたけれど、人の賑やかに話す声が聞こえてまた起きるのをやめてしまった。考えてみれ…

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うまく眠れていないせいか、頭がくらくらして何もしなくて済むならば心地よくすらあって、第六感だ、早く言葉を見つけないといけないから、私は ここまで書いてあってこの後何を書きたかったのか全く覚えていないのだった 安い香料では限界があるから、何か…

1101

はたして満月には間に合った。ベランダに出て首をあげると、紺色の空気の向こう側に散る星々がくっきりと見えた。そのまま端の方まで寄ると、頭の上のずっと高いところに、金色の月が煌々と、輪郭を赤に青にゆらしながら燃えていた。視覚はクレーターを正し…