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塗り固めたばかりの爪からは有機溶剤の匂いがして、顔に乗せた塗り薬のにおい、枕元に積んだ古い本の匂い、干したばかりの布団の匂いと混じって知らない場所のようになる 憂鬱を悲しさを殺してしまいたいとは思わない、生かしたままでできることなら野放しにしたままで、面の皮だけ穏やかを装える何かでありたいというのが最近の目指すところであり、要するにそれに大失敗して今日、大変な迷惑をかけたのだった、それは違うのだ、どうしたって違うのだ、そうやってわずかにでも持っていたかもしれない信頼をとうとう失うのだ、弁解に意味はなく弁明は醜い、態度で示すしかないと書いている時点できっと何かに負けている