2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

0331

顎よりも少し下に揃う高さに切った髪の調子は良好。終わる三月の町、曖昧にうす青い空がのしかかる。湿度の中の木の匂い、花の匂い、質量を持って流れる時間。宇宙光線。街に出れば猥雑な光だらけだ、声だらけだ、顔だらけ視線だらけ足音だらけだった。言葉…

卒業式に行った。人がたくさんいてよかった。偶然サークルの同期に会えたとき、思わず泣いてしまった瞬間がこの数日できっと一番面白かった。華やかな視界だった。誘導に従いいつかも入った建物に入ると人が並んだ椅子に座っている。女の子たちの頭に花がさ…

0330

この数日、やけにあたたかい。服に困る。ブラウスが乾かない。濃い湿度は春の匂い、寂しい。あちこちで咲く花が無節操に溶け込んでどろりとした甘さじみた匂いが、窓を開ければ容赦無く肺を浸して息苦しい。胸が詰まって恐ろしい。春。こんなにも空気が濃い…

0322

今日も日記を書こう。歯医者に行ってマウスピースを受け取った。かみしめがひどいのでつけることにしたのだった。それから行政手続きの申請書を取りにも行く。晴れていた。薄桃色のたぶんパンジーが、光に透けてやわらかに萎れていた。 社会が近づいてくる。…

0321

どこかに下書きを残していたはずなのだけれどどこかへ行ってしまった。 今日は雨風がとても強かった。なぜか見始めた映画をやっとこさ見終えて、荷造りのリストを作ったり荒れ狂う机周りを多少整頓したりした。なんやかんやで閉じた世界の美しさは脆さと隣り…

0319

今日こそ日付が変わる前に日記を書こうといつも思うのだけれどうまく行かず、日付を超えてしまうとそこまで書くべきこともないのだしいいか、になってしまいがちで本当に良くない。 事前研修が終わらない。図書館に行った。ついでのおつかいで食パンを買った…

0316

歯医者に行った。しばらくご来診がありませんでしたので 個人情報を記入する、数字だけで特定可能な私の住所を律儀に正しく書き並べる 歯型を取るとき、口から粘土が外れるときにでたつるりとした声を愉快だと思った 頭が痛い、ずっと痛い 最後の面談だった …

0315

それはあまりにも春すぎる日で、輸送の空白のなかで、白すぎるページを私はめくっている 街は青いふりをしている 爪 儀式めいたこと 悲しいことを悲しいと思いたい 日付をつけずにメモ帳に書き並べているので、どこからが今日でどこまでが昨日でどこからが先…

0313

久しぶりに圧倒的な低気圧にやられた1日だったな、ということを書こうとしたのだけれど 頭の中身がおかしなところに吸われてしまって、その痛みとともにその空洞を埋め尽くすような雨の音が気持ちいいこととか 何も考えなくて済むなら幸せってまあ大体のこ…

0311

勢いで予約を取った耳鼻科の待合室 六角形の光 道を這う影 綺麗に話す女の子 目が合ったこどもは親しい友人と似た目をしている 私は視力が悪いのだ 春を形容する言葉を探している。優しさや、やわらかさや甘さにしてしまうには、どうにも悔しいような気がし…

0310

残したケーキは朝に食べた。今日中に、と言われていたけれど、もしも受け取った時点で今日が始まっていたならまだ今日なので、大丈夫、そうじゃなくても胃腸が強いから大丈夫 半分の苺がふたつぶん並んだかけらをさらに崩す、崩す、 どうしても、どうしても…

0307

昨日は友達に会った。久しぶりという言葉から始まらないことに不思議な安堵があった。健康路線の人とその反対側の路線の人とで全く違う色味の話が出てくるので、そのどちらでもない場所を歩いているような気がする私はその曖昧さにとどまっていたく、そのた…

0305

目薬をさすのが苦手で、目薬を使い切るのはもっと苦手。暴力的な強風の日を過ぎて、中途覚醒が癖になってきている。日夜緊張のような感覚、脈打つ波が肋骨をはみ出てその外側でうるさいと思った。いつもの机の前、いつもの椅子の上で私はずっと緊張している…

0301

晴れていた。隣駅まで行った。水仙、沈丁花、開きかけた桜がくやしい。あたたかい風、嫌味なほどに春めいた陽射し。沈丁花という文字のならびがじんちょうげという音と繋がっていて、じんちょうげという音のならびがあの冬の終わりに香る植木と繋がっている…

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