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日に日に高まるあれこれの源流はさまざまで、分析されてたまるか、と思った。渦を巻く眼、数えること、繰り返し、くり正しく誤った表情、などを見た、このうちのどれだけを明日まで、来週まで覚えていられるだろうと不安になる。ちゃんと着いていかなくてはならなかった、置いていかれないように、と考えるのをもうやめてしまいたいと思った。頭蓋が、手首が足首がごろんと体から離れていくそえ想像があって、私には執念が足りないと思う意識から己の体をいつまでたっても引き剥がせないこの醜さを呪った、ずっと出てやるものか、とおも思った、

とまで書いたのが何日前か、何も。何も 頭がぼんやりしていたのは土曜日だった、今日は電車に乗った、よく晴れていた。秋だけ匂いがしないなと思った。匂いにまやかされないぶん、空気がくっきりとして見えるのかもしれない。

通信が切れたり繋がったりしたことの目印として短い電子音が繰り返し鳴るのがすこし鬱陶しかったが、そのままにしていた 背後で女の子が落ち合った、電車で待ち合わせることなんてできるのだなと感心しているあいだにさらにうしろから雪崩れ込んできたコーヒーの香りに飲み込まれてしまった。先頭車両に乗っていた。日が短くなった。かれこれ半年近く通っていただろうか、目的地にもうしばらくは来ないのだろうということに気がついても感傷的にはならない。