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夏のはじまりの頃のように暖かい日だった。地上があまりにも早く取り戻した熱は枯れ葉を炙り、ゆるんださかい目から濃く秋が香る。陽射しは季節相応に柔らかい中に異様な重みをたたえて熱を地表に流し入れている、一方で風のせいかすっかり葉の落ちてあらわになった枝が揺れていて、日が落ちるのはますます早い時間、ちぐはぐだった。

郵便局で、ずっと出しそびれていた封筒を出す。それから皮膚科に行く、薬が増える。一度帰ってまた出かける。急行電車を待っている地上ホームも同じようになまぬるく、ふと、11月も後半に初夏の気温の中で世界規模の感染症に恐れを抱くなんてあまりにもフィクションめいていて、と変な気持ちになった。帰り道は強風、まるで台風前夜のようだった。