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書きたいことは山ほどあった。書かなかったのは、本当にただなんとなく気が向かなかったからで、そのなんとなくにいつか殺されてしまうだろうと思うから怖い。

瞬く間に日が短くなって、例えば夕方に外に出ようとするときすでに暗くなりかけているから気負ってしまう。地上2階、駅のホームから見える西の空が刺すように赤かったはずで、また暗さから逃れた地下通路を歩く。なんだか悪いことをしている気分になる、いつもの場所がいつもの場所になって、道を選ぶのにもすっかり慣れた。

昨日は何をしていたのか?今日は何をしていたのか。するべきことは遅々として進まず、不安はさらに文字を読む目をぐらぐらに揺らす。腹まで落としてしまえば大したことない不安の総量だ、足を取られてしまわないように、それでも不安を潰してしまわないように、今はそのために足の指が付いているような気がする。

人前で暴れ出す私の中の小学生を殺さないまま腹の中にしずめておくにはどうしたら良いのだろう。

もう少ししたら、自分が何かを好きだと思う気持ちを守れるようになる気がする。私すら忘れてしまった昔の私のことを覚えてくれている人がいて、そんな奇跡みたいなことがあって良いのだなと思って感慨は喜びをゆうに超えていく。