0310

残したケーキは朝に食べた。今日中に、と言われていたけれど、もしも受け取った時点で今日が始まっていたならまだ今日なので、大丈夫、そうじゃなくても胃腸が強いから大丈夫 半分の苺がふたつぶん並んだかけらをさらに崩す、崩す、

どうしても、どうしても大好きなものがあってあってしまって、ああ好きだなを死ぬまで持っていくのかながちょっとだけ現実味を増していく日々で、

まともに言葉が喋れなくなっている 嘘 喋れる が 書けない ラインの時点で困難が生じている 書き言葉はまだできるかもしれない、あの過剰な装飾が、似合わない、と思ってしまうようなことなのだ、多分。

外付けのハードディスクが自動バックアップを拒否し続けて400日を超えていた。容量はまだ十二分に有り余っているのにも関わらず、何度繋いでもエラー表示が出る。仕方がないので、いつも手動でデータを移しては消している。それを知らないハードディスクは、律儀にエラーを伝達し続ける。そんなやりとりを繰り返して、背後には、放置し続けた物事の山がうっそりと聳えている。

動かすのをさぼっていた時間の動かし方を私は知らないままでいる。いつから置いてあるのかわからないような保存容器は蓋をしたまま捨ててしまうこともあった。そういうことの積み重ね。

友人に会った。前に会った時にも雨が降っていた。正しくなくて良い場所は貴重で、そこでの振る舞いを私は忘れつつあるようだった。輸送の空白。体験を陳腐に落とす方法を手に入れた私は結構無敵だ。

昨夜久しぶりに随分と歩いたのが堪えたのか、あるいは、全く別の場所、別の角度から訪れた喪失のせいなのか。今日は一日中眠たかった。

春はやわらかく、なめらかで、摩擦のない季節として訪れる。強い風の音。眠ってはいけない。眠ってはいけない。