0301

晴れていた。隣駅まで行った。水仙沈丁花、開きかけた桜がくやしい。あたたかい風、嫌味なほどに春めいた陽射し。沈丁花という文字のならびがじんちょうげという音と繋がっていて、じんちょうげという音のならびがあの冬の終わりに香る植木と繋がっているということを、私はけっこう大きくなってからようやく知ったのだった。いきさつも覚えていて、私の好きな言葉を書く人が書いていたのを調べて知った。沈む、むを消す、丁度、度を消す、はな、花。沈丁花の香りが好きで、香りが好きなのはけっこう前からだったと思う。まだランドセルを背負っていたと思う。住宅街、植え込みが多く。