0917

台風が来ている。もう4年も前になる、荒天の予報で一部が中止になった公演を思い出す。手元ですぐに読める場所に脚本を今も持っていて、ひさしぶりに最初から最後までを読んだ。その人が書いたことを抜きにしても大好きな脚本だった。稽古場に入れる喜びにあのときは紛れてしまっていたけど、あの世界の中に呼んでもらえて本当に嬉しかった。もうあの言葉は、時間は空間は誰の手にも渡らないのだということがぽつねんと頭に浮かんで、でもたいていのことはそうで、だからなんてことないのかもしれず、でも世界にとっての話を私にとっての話と同期してイコールにしなければならないはずはないから今でもずっと悔しく思っている。つまらないことに囚われていたなとか、思考の変な凝りのこととか思い出して、真面目にやっていたつもりだったのはほんとうにつもりでしかなかったな、あの場所をつくることにもっと真剣になれなかったんだろうということが悲しくなって、わたしにはそういう後悔があらゆる場所にあって、あの場所はもっと素敵であるべきだった。私なんかがどうかしてたってちゃんと素敵だったけど、もっと大切にできたはずだった。それでもわたしにとってずっと大切な脚本で、舞台で時間だった。

雨が強くなってきた。