0908

順調に増えていく日付の数字と同じところを回って止まって半年が経った現状を比べてしまえば想像は窒息してしまうような日々だけれど、それでもそのようにして豪雨も強風も去って太陽光はまっすぐに地平をさしてやまないし、隣の建物には配達員の号令が戻ってきた。

半年ほど使い倒していたトートバッグを洗ったら妙に人間臭くなってしまったので今度は漂白剤で脱臭を試みた。水を含んで重たくなったトートを吊るす、ぽたぽたとベランダの地面にまだらの模様が落ちては空に吸い込まれていく。一日干してだいたいの違和感は抜け落ちた様子、今からアイロンをかけるつもり。

自分だったら舞台の場所を使うとしたら何をするだろう、と考えを巡らせているうちに、ひとつだけ小さな思いつきを捕まえることができた。実現には様々な理由で遠いもののしばらくの間その如何しようも無い想像に熱中し、思いつきの興奮が引いてくると、今度は急に気持ちがざわつき始めた。埋めるために文字を入れなければいけないのに手に付かない、読まなければいけないものはたくさんあるのに、そして不幸は、このざわつきの卑小さを体がちゃんと理解していることだった。

事態が動いた後、キャリアカウンセラーとの面談ののち更に相談室との面談があった。自室の周辺から人払いをできそうにないから公園まで出ると、子供たちが声をまっすぐに張り上げて遊んでいた。話した内容は何処と無く最終回のような話の流れで不思議な気分だった。

どうしてたどり着いたのかはわからないが図書館から借りている文学ムックがあって、その中のひとつの短編が気に入っている。作者の名前で調べるとエスエフを書く人のようで、わたしはエスエフ的なものが好きなのだろうか。考えたことはなかったけれど、思い当たらないこともない。

あちらこちらで縦の線が点滅して次の文字を待っているのをじっと見ていると妙な気分になる。