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4時に寝ようが12時に寝ようが10時過ぎまで起きられない。去年の春の、ずっとずっと体が重たかったときのことを思い出す。

だって高架下の駐輪場にはあんなにも、一筋の光が差して目が眩む。どうしたってきれいだと思う。

乗り換えたら真新しい車両、新幹線みたいな匂いがする、帰省のことを思い出す。最後に帰省したのは2年前のお正月。大晦日は下宿にいて、近所の、といってもかなり大きな神社が近所と呼べるエリアにいくつかあるような場所だったからかなりしっかりした神社にいって、お焚き上げっていうのかな、頑丈な木材を組んで火を燃やしているのを割と長いこと見ていた、ように記憶している。人が集まることがわかってるから屋台まで並んで、そこが地元の人たちはそういう時に集まって騒いだりするらしい、楽しそうだけど、そういうのが地元にあっても私には無縁だな。そのまま年越しの瞬間はひとりで過ごして、川の近くで小さいケーキ食べてた。丸いやつ。蝋燭立てたっけ、立てた気がする。それで新幹線の始発って案外早くて、結局何本か遅れて乗ったんだけど、だんだんと外が明るくなって、そういうことだけ覚えていたいと今だって思っている。あの頃はまだ、今の暮らしは海の向こうの火種だった。

電車が地下ホームに着くとき、降り立つというよりははいのぼるような感触がいつもある。はいのぼって見えた新宿駅は賑やかで、前からこんなに音がしたっけ、あちらこちらから重低音を強調した映画館見たいなおとが散らばって(これは私の映画への苦手意識を思い出させるもの)(低い音は好き)、人の声、改札、電車、何もかもがぐるぐると回る様子はどちらかというとフィクションめいている。

一瞬雨が降った。すぐに止んだ。

向かい側に立っているおじさんの左手が時折オレンジ色に光った。この車両で、おじさんの左手だけが光っている。

眠たいのは、ずっと眠たいのはいつも通りに月末だからかもしれないと思った。血が出ることとうっすら無関係にやってくる強い眠気は、いつもであれば画面の中だけ正気のふりでやり過ごしているそれであるのだと思えば何ら不思議ではなく。