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人が人をジャッジする声が時折後ろから聞こえてきて、その声のひとつひとつをとても恐ろしいと思った、混ざる笑い声をとても気持ち悪いと思った。そうやって腕も足も切り落として、生きていくことが正しく、そうでないならば力が必要、ないならば潰れてしまえと人は言うのか。変なの。案山子が平泳ぎするための方法を考えている。友人が昔読んだ本の衝撃を話していてそれをとても美しく、羨ましいものだと思った、私にとってのそれは詩でありとてもささやかで、でも大事にする、それは意味があるからではなく、ただあったからで、それでいいのだと言うことを確かめる。珍しく大きく強くわかりやすくなければ価値がないわけないのだから、そういう当たり前のことを確かめなければあっという間に鋳型は押し寄せてくる。廊下は冷たく、冬みたいと思うまでもなく冬。