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少し遅く起きた。外は晴れていた。

暴力的な事件があったとき、いつか加害者は自分だったかもしれないと思うことがある。長閑な商店街に道ゆく人は無垢な通行人の顔をしている。揺れながら、背丈が私の肩ほどもないサッカー少年たちに囲まれながら、電車が音楽でない理由を考えている。映画館に行った。

昨日チケットを取った時にはまだ残席に余裕はあったが、たどり着いてみれば満席売り止めで狭くはないはずのロビーは人で埋まっていた。年齢層はやや高めで、両隣に座った人はどちらも親くらいの世代だったような気がする。暗くなる。場面が進んでいく。時折、音がとても鋭い。映画なのだから、間違いなく意図された鋭さだった。タイトルにも表されている眼差しを追う。「心が動く」体験をあまり理解していないし、泣いたことを価値にする言い回しには辟易しているから理由がわからないタイミングで涙が出たことは保留したいが、場の空気に連動するように体の内部が動いた、呼吸が同期したと感じる体験は新鮮だった。良い物語のなんたるかもわからないので私に評価はできない。ただ誠実な時間があったと思った。終演直後はそんなことも考えていなくて、映画館では拍手ができないのだと呆然とした。(してもいいのだが空気は読まなくてはいけない)青い街を帰りながら、きた時よりも音がよく聞こえるような気がした。十中八九気のせいではある。