0702

必要は発明の母、眠れていたならこのようにして、ベッドライトの眩しさをよけてスマートフォンの明かりで本を読むこと、隙間から漏れでる光がきれいなこと、シーツの水色を跳ね返し、部屋に静かに溶けていくこと、知らなかったのだろうから:そういうことを考える*寝られなかった 色々なことが漫然と不安 台所に行ってチョコレートをひとかけら食べたときだけ嬉しかった|逃げ出したくなる、叫びたくなるどこへだろう、何をだろう、走り出す気力も、大声を震わす体力も怠惰な体には残されていないというのに。髪が抜ける抜ける。暮らしには珍しい花のにおいで暗闇は知らない土地になる、3時を過ぎる4時を過ぎる、あしもとにひらけた窓の方向に、ふわっとにおいの変わり目が訪れて朝だ、と思う 不思議と。鳥が鳴いて、窓際が白くなっていく、ぐんと空気が冷たくなる一瞬があって、そうしたらようやく眠れるような気がする。布団に守られながら、すとんと意識が落ちる。

 

姿勢を正す正す。5時に寝ても8時半に起きられる。起きられることと起きていられることは別で、お昼前には机に突っ伏して胃を痛めていた。面接の後、知らない人たちのボイスチャットに一瞬参加したりする。借りた本を読んでいる。ポストドラマ演劇について。とても面白い。日はまだまだ長くて、6時半だってまだ白に近い。外が青くなっていく時間が本当に好きだと思う。風が嘘みたいに綺麗。そして当たり前に夜が来る。

 

あかるいことの明るさも、つぶやくことの柔らかくて重みのある輪郭も、私の手に届くところにはない感触で、さわることができるのは燃え滓で灰で、それはたぶん余波の残滓みたいな ざんし のこりかす のりすごす 光る文字ばかりを追っている 軽率に言葉を食べこぼして踏み潰して走る 電車の叫ぶ音のことは汽笛と今でも呼ぶのだろうか

姿勢を正す正す。