0622

不安で眠りが現在から追いやられるような眠れなさ、凪いだ心でただ目が冴えている眠れなさ、眠れなさにもそうした分かれ目のあることに気がついて、昨夜はかなり後者、穏やかな眠れなさに安心する。

震えが突然声になる。喉から耳にかけてがいちばん震える音で何かが鳴く。震えになったとき、鳴こうとしたのがわたしであったことにようやく気づく。声をどうこうした人は知っているだろうけれど、発声練習のかなり最初の部分で、ハミングというものがあって、声を頭の、体の色々なところで震わせるということをする。口元、鼻、眉間、頭のてっぺん、裏側、それから口腔をひろく震わして、喉、肩、胸、お腹、想像で腕、指先、足先まで。ひとつずつ想像の中で思い出していく。

自分から要素を取り出して加工、構成される社会的未満の私、その過程のすべてに嘔吐したい。友人でも家族でもそれ以外でも、関係性が連続することは難しい。ただの役割であれば不変であれば良いのだが、きのうの不機嫌やきのうのご機嫌に縛られて今日の態度・発言・言い方その他諸々を確定させていかなければいけない人間関係は難しい。その点文字が気楽な正真正銘のインターネット世代の自我だ。

雨が強くなって窓をしめる。吐きそうに緊張、多角的かつ漠然として呆然自失の不安に涙が流れ出すとその気持ち悪さがべたりべたりと輪郭になっていく、最近はアプリで心拍数を測るのが趣味で、脈は測るといつもあるから良いなと思う。がたがたに震えながら、顔と声を笑わせてなんとか喋る。担当してくれた方が優しかったのが救いで、最後まで会話として話すことができた気がするから、本当に感謝している。終わって、通信が切れて、一気に全身の力が抜ける。そのまま眠る。起きると、貝柱のようにして肺の中に重たさが埋まっていた。少しずつ動く、少しずつ動く。久しぶりにお酒が飲みたいと思う。

 

突然ですが今日のおすすめ