0520

いろいろ悲しくなるうちにこの世の全てが無常であることまで意識がひとっ飛びに消えていって、来世は電子音とか、とにかく人間じゃないもの、永遠じゃないものになりたいなと考えてしまう。

妙に足が冷える。

最近話せていないあの人やあの人に、早く手紙を書きたいから、暑中見舞いを出したいなと思う。さいきん妙に寂しいに似た気分があって。

そんな気分でまた川上未映子を読んでいて、『わたくし率 イン 歯ー、または世界』、読み進めるうちどういうわけかぼろぼろと泣いていて、何が悲しいやら何が悔しいやら何もわからないままに部屋のさらに隅に丸まって泣いていて、すぐ隣の浴室から換気扇の唸る音が聞こえればもうすぐ自分の番だという事実にもすぐには脅かされないで泣いていて、圧巻というのはこういうことを言うのだなと、ぬるまったお湯の中で後々そのようなことを思ったけれども当時はそんな余裕もなく。

それで、フライングの暑中見舞いに何を書こうか考える。結局底が焦げてしまった鍋のこと、誰もいない児童館のこと、何も定まらない今のこと、懐かしいことは何一つ書こうとは思わずに、ただ、淡々と過ぎていくらしい今のことだけを書いてみようかなどと。