0504

チーズケーキを雑に焼いて、薄暗いままにした部屋でテストを受けたり、細胞のことを考えたりしていた 昔から好きだった曲のメロディラインを安物25鍵のキーボードでなぞって、覚えたてのコード理論をあてがってみる。わたしがわたしの輪郭の中に凝縮されていくような気分でいて、めぐりくる言葉のことを考えていた。正しくなくても、世の人がすべからくこれを知っているならばわたしも知っていたほうが良いといつかの遺言が思い出されて夜になる。どこかの家の室外機が送る風が聞こえる、ベランダに座り込んで泣いている。顔を上げれば満ちるに満たない月が煌々としていて、それはそのうち空ごと濡れてはぐにゃりとゆがんで両目の中で爆ぜる。