0228

なんだかうっすら悲しかった。外はあまりにも春めいていて気持ちが悪かった。空気と肌が反発しない、ただ生温く、抵抗を忘れて溶け出してしまいそうな気候から逃げたい。春が来る時いつもうっすら嬉しくない。いつかの春ぼんやりしていたら車の行き交う百万遍の真ん中にいてクラクションで目が覚めた、そういうことをまたするような気がしていて、電車が来るたびに意識を持ち直すようにしている。オフィスにはあまり人がいなかったから気が楽だった。眠くなるにつれ少しずつ耳元の声が増殖していく。少しだけ歩くと遠ざかる。外が明るい。でも外に出る頃にはもうすっかり暗いくらいの塩梅。リアルタイムで進行する物語を追うことについて考えている。