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日曜の朝なのに7時に目が覚めて、不思議に思っているうちにまた寝て9時になっていた。午前の間はきのう借りた本のうちの一つを開いて、午後になったら気に入りのワンピースを着て、それを着ていることを知られないようにして、外に出る、眩さは私の体を透過して熱がわからないまま、喧騒、滑り出す都心、地下鉄の駅をひとつ選んで降りる。

道端はどこに行っても同じ道端で、でもきっも異国であれば違うのだろう。ここが近所の2丁目ですよと言われたらそれは違和感だけれど、それ以外の2丁目ですよと言われたらはいそうですかとなりそうなくらいに道端だった。花を買いたかったので、花屋がありそうだからこの街を選んだ、Googleマップで花屋を検索して回った、どこも徒歩5分以内でつながっていた。道端で花を売っている人を途中で見かけた。あの人は何だったのだろう、花の並べられたその角だけとても明るくて、嬉しかった、花はたくさん咲いているべきだと思う。5軒目で運よく予算もイメージもちょうどぴったりの花束を見つけたので即決して購入して、花束を持って歩いていると何も怖くない気になれた。花で殴っても誰も死んだりしないのに。花は慈しみの存在としていて、次の次に人間になった時はお花屋さんになりたいなと安直に思った。現世では無理だ、何一つ大切に扱えないから。

お皿の場所を入れ替えたのと母は言った。同じ引き出しばかり使っていたらそこだけ劣化しちゃうから、だから3段目に変えた、そういった内容のことを話す語調はどこか台詞じみて聞こえたのは、私が最近触れたもののうちのどれかのせいなのか。

借りた本は結局今日中に読み終えた。揺れてずれるすべてが大事だった、ハードカバーを閉じてもまだどきどきした、体中で行き交う全てを感知しているような気分だった。

背後の隣室から聞こえる課題か何かを読み上げる声。「現状を言語化しよう」かなしい言葉だと思った。

12月になったら、うちにある詩集をすべて読み直すことにしようかな。