0325

思い出すことばかりになって情けないと思うたびにまたひとつ何かを思い出して、癖のように過去の表皮を剥がすことをやめられないまま最後に残るものはなんだろう。急に不穏の色濃くなる仕事の場の中で、私だけが何か薄い膜の中にいる気がする。守られているのか、遠ざけられているのか。母が世話をしていた鉢植えの花がいつの間にか開いて(これだけでとても平和な概念であると思う)、多分外は春なのだろうと思う。私は私の部屋の中で指先の冷えに震えている。あまりプレイリストの中身が増えないまま4月になりそうだ。春は何かができそうな気がする季節だと母が言っていて、そうだろうか、私はあんまりそうではないなと思ったのは、多分大学時代の記憶に由来する。春はどちらかというと、無力によりひとりでふらふらとする季節だった。どちらかというと初夏ごろから何かが始まることが多いこれまでだと気づいたけれど、今は冬から始まっているものの最中最中だからそれがどうにか回せるように力と祈りをもつ。