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毎日、少し遠くのオフィスまで通っている。朝起きなければいけないと思うからか夜中に何度も目が覚める、それで脳の奥のほうが少しずつ茹っていく感じがする。正気を保ち続けることが、昔よりは、または傾く時期などよりは楽にできるようになった気がして、それがいいことなのか悪いことなのかよくわからなかった。

まだ知り合いではない人が周知していた展覧会を見に、職場付近まで向かう。昔きたことがある、小さい演劇を見たことがあるここはもうすぐ終わってしまうらしい。つやつやの廊下を踏むたびにこんなことをしている場合ではない、お前はこんなことをしている場合ではないと罪悪感がのしかかり、その正当性が計れないのをいいことに丸ごと目を逸らして、青い光に照らされた部屋を、人の緩やかに動く映像を、暗い空の下に太陽の顔をして咲いて何も照らさない花の凹凸を、見ていた、何の意味があるんだろうと思い始めればそれは際限なく、無為は私の足元まで即到達して、私はそこから逃れなければならないのではなかったですか。快と不快以外のものを感受できなくなったら、それは死んでいることよりも無惨なことではないのですか。頭が都合良くぼんやりしていく。

駅前で、友達によく似た出立ちの人が大道芸をしていた。その友達に話したいと思って大した罪悪感もなしに少しの秒数映像に収めたけれど、その後で、別に話したりはしないんだろうなと思った。写真もすぐに消そうと思う。