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会社に行く。ビルの中は守られている。食堂ではいつもまずカレーを確認する、問題がなければそのまま選ぶ。塩気の強いスープを飲むか曖昧に悩む。このひと月は穏やかだった。私の仕事に対してお金が払われているのではない。いつか何かがあったときに迷いなくこちらを優先させるための担保で、いつか生活の時間の、負担の概ねをこちらに傾けさせるための期待で、これからに対する投資が私の社会的価値の代理として数字にかわる。冷水を汲む。薬を持ち運ぶためのケースは持っていなかったから、処方された袋をそのまま持ってきた。何食わぬ顔で大きい錠剤を飲み込むことができるようになった、いつから?意味も必要もないのに、小さく呻いてみる。抵抗。何へのだろう。プレゼンをした。私の言いたかったことは伝わったようだったが、上の人たちが言わせたかったことは伝えられなかったような気がする。終わった途端に架空の私はスッと消えていった。当然だ、私が引き留めていたのだから。今回の件で出身の大学名なども伝えることになった上司に、どうしてこの会社に来たのと言われる。もっと色々あったでしょうと言われる。なかった。正直にしか言える気がしなくて、ここが拾ってくれたからですと答えた。帰りは寒くて、寒さが高まると精細さが増して冬は滑らかになる、ことをどう言葉にするべきかを考えた。視界に塵のような白がちらついて、多分あれは雪だった。身体感覚はまだ戻らない。