0927

かわいた器を携えて秋の気流を少し吸う。平日の乾燥した憂鬱は、秋の朝が透明であることと交わらないまま電子になる。まだ蝉は鳴いていたっけ、今日は雨は降らなかったっけ、台風がもうすぐ来るんだっけ、いつになったら誰に会えるんだっけ。まだこの世のどこにもない真っ白い部屋のことを思い出す。ずっと昔に夢で見た、真っ白い舞台のことを思い出す。悲しい気持ちや恐ろしい気持ち、それがどんなものなのかが一瞬帰ってきたような気がした。