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年の暮れ、急に冬を思い出したかのように、輪郭のある冷たさが張り詰めていた。新しい歯ブラシを買いに行った。帰り道、日光は真っ白だった。冬を浄化していくみたいにして、あらゆるものがその真っ白の中に透けていく。

とても震えてしまうようなことがあって、それはとても申し訳のなく思うことで、有難いの言葉に落とすのさえ恐ろしく思えてしまうようなことがあって、私はこれから素敵なものを沢山見つけることができるだろうその人に、これから沢山いいことがあってほしいと本当に思っている。

区切りは目印でしかないのだけれど、それを無邪気に信じてしまおうとすることの尊さをそろそろ理解しつつある私はけれども真正面からそれに乗る勇気も出ないで、ただぼんやりと、最後になっていく色々のことを数えたり数えなかったりする。私は大人しく失踪なんてできないのだろうな、と色々を省みてそう思う。

もうこないかもしれない夏のことを考える。もう会えないかもしれない人のことを考える。もう言えないかもしれないことや、もう信じられないかもしれないもののことを考える。それは前も後ろもない目を瞑ったままする作業であって、私は、来年は生きていかないといけないのだなとそればかりはっきりと考えている。