0711

目が覚めたように夏だった。影の輪郭が懐かしく響いて、写真を撮りたいと自然と思った。夢見心地の七月初旬に、熱中症めいてふらふらとしている。

 

正しく最終回に向かって私は電車に乗っていた、もううっかりでホームに落ちる心配なんてしなくてよくなるような気がしていた。窓の外は厚くなってゆく曇り、ベビーカーの往来、男女は組になって、嬉しそうだ 色が変わる モニターに流れて消えた水害の映像は友達の故郷だった らと不安になる 床の上にぐにゃりと溶けていく空想をして、けれども私の体はあまりにも不自由よく晴れて、息苦しいくらいに明るい朝だった 電車に運ばれながら私は、ずっときんい緊張していた な泣かなかった けれど

空が暗くなってきて、わたしたちは稲光の筋を探して遊んだ そのうちに雨が降り出して、あめが鳥が飛び去って、窓の外が影絵のようになっていって、やがて真っ白になっていくのを、その真っ白が光を増していくのを見ていた 窓の手前にいる人たちが影絵のように見えて、舞台の場面転換の直前を連想した わたしだったらたぶん、窓の外の白さに乗じて目潰しのライトを入れる、ぱっと音も光も切ってしまったあと、もとの景色に戻ったとき何事もなかったように人がひとり増えている みたいなことをする とか考えて

虹が出たらしい 見えなくて残念にしかんかおもみたいななにごともなかなにけしきにもどわたちょまどなの

雨が降ったのかどうか知らないことは、とても寂しいことだと思う 月曜日になる