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久方ぶりにコンタクトを入れる。履いてもいいからスカートを履く。用件をぼやかして、お昼過ぎに外に出る。外は柔らかく晴れていた。そのまま駅に向かう。南北で分かれているホームの、日向ばかりの方で電車を待って、乗る。揺られて、最後まで。ここ最近しばらく利用していた改札をまた通って、今度は別の場所へ向かう。百貨店。エレベーターを待って乗る。しばらく登って降りる。友達に頼まれていた本を買いに行ったのだった。それは無事に手に入って、まだ時間があったから書店をぐるりと一周する。実用書や啓発書がたくさん並んでいると、ちょっと萎える。

書店をでるとすぐ横に画廊があって、入場自由という文字が見える。まだ次の用事までに時間があったからなんとなく入る。ここに飾られている絵を買う可能性なんてちっともない小汚い女が入ってもいいものかと思ったけれど、まあいいや、入場自由だし、と思って開き直る。絵本のような絵がいくつか壁にかけられていて、私はそれを好きだと思う、何が好きなのか、どういうところが素敵なのか、考えようとしてみるそれはとてもわくわくすることで、しばらくの間そうしていた。展示のお知らせと思われるポストカードを一枚拾い上げて外に出る。思わぬ出会いだったと喜びながら、そのまま駅に向かって次の目的地を目指した。先日友達に教えてもらった人の音楽がとても好みで嬉しくて聴いてしまう。光さす車内、制服の少年少女たちが輪になってあれこれ表情を動かしている。都会の駅で乗り換えをして、もう少し揺られて、私はずっと来たいと思っていた場所にとうとう無事に着いたのだった、それは今日であらねばならずそこは今日もちゃんとあって、無事にあって、そのことだけで涙が出る思いだった、正しく動き正しく出会えることはそんなに当たり前ではないということを、何度も何度も考えた春先からの時間が起爆剤になって、視野がきらきらと弾けた。帰りの電車がとても嬉しかった。帰ってからはまた作業に戻っていたのだが、これはまずい、と思うような眠気があって中断、仮眠を経て今に至る。もう少し手をつけてから寝ようと思う。ばちでもあたりそうだ。