0706

やはり夜、みんなが寝静まった時間に布団に入ると眠いのに眠れない。行き場のない雑なエネルギーがヨーヨーのように行きつ戻りつ、眠れない中にいくつもの不安が揺れる。気持ちが大暴れしたあと、やはり気温がすっと下がる頃、憑き物が落ちたかのように私は私にかかる重力のことをようやく思い出したかのように、沈んでいく。5時くらいまでの記憶がある。

 

夢を見た。

後輩が歌に意見がほしいというので音源を聞いた。色々な歌い方をしていたが、強めに歌っているのが一番良く思えた。母親には怪訝な目で見られていたが、私はその子とちゃんと話したかった。それまで家族が大はしゃぎしていたのはテレビゲームで卓球大会をしていたかららしく、これからまた何かするみたいだったけれど、私はお呼びでない。エントリー画面に文字を打ち込む。回答必須の項目が通例より少ない。

理科室で、左の人差し指に試薬で橙色の染みができた。昔の先輩(とてもすごい人)が、染みを取るための道具があると教えてくれる。死ぬほど痛いらしい。プリンのようなもので象られた人型、この映画は面白いらしいから見たいんだと話す男が花風呂に沈んでいく。染み抜きの道具を見ると、コットンのようなもので患部を挟む仕組みになっていて、その外側に太い針が見える。どれくらいの間痛いんですか、と聞くと5分くらいかな、と言われる。染みを取る必要があるのだろうかと迷ったけれど、先輩が言うなら取らないと何かあとでよくないことが起こるのだろうと思ったので、お願いしますと言う。左手の人差し指を挟まれたとき、急な閃きですみませんと言って、大きな声である人の名前を呼んだ。呼んだら来てくれる確信があった。半身のように生きてきた人間で、私と異字同音の名前を持っていた(当然だが彼女は実在しない)。大声で叫ぶ、すぐに来てくれる。右手を持っていてくれる。指が挟まれる、大声で叫ぶ、少しずつ激痛とともに痺れがやってきて、けれども痺れは急に溶けてしまう。だって本当はこんなこと起こっていないのだから、の確信が急に輪郭を得て、私は理科室ではなく自室の布団の上にいることに気づく。当然誰もいない。目が覚めていた。

 

時計を見ると朝の6時半、誰も起きておらず活動の気配がないことが意外だった。なんとなくこのまま起きてしまうことが怖くなり、そう思っているうちにまた意識が落ちた。その後断続的に目が覚めては動けないのを繰り返して、ちゃんと起きたのは正午になる頃だった。白い目で見られ、それは当たり前のこととして肩身が狭く、人のいるところに居たくない。午後もただただ頭が痛く、それが睡眠の過不足によるものなのかもわからないけれど何も手につかず、しかし寝ようとする音も気づかれてしまうのを知っているから踏ん切りがつかないまま、けれどもやはり寝てしまう。また夢を見た。起きれば夜、まだ頭は痛いけれど、気は少し軽くなっていてよくない。