0603

精油の甘い匂いが眠りを助けたおかげか、カーテンを開けて寝たことが功を奏してか、外が晴れていたこともあってか今日は無事に起きることができた。妙に軽い目覚めに驚く。ひとり暮らしをしていた頃のわたしは朝に強くて、例えば誰かが泊まりにきたようなとき、そういえば、カーテンを開けたりして起こしたりもしたものだった、そういうことも思い出す。もう3年半前、公演の直前に、朝が苦手な女の子を泊めたこと。その子と、最後に連絡がついたときのこと。色々、思い出す。

少し気分の調子が良くなくて、お昼にみた鴨川特集の録画の冒頭のカットで泣きたくなる。説明会とグループ面接があって、全くもって上手く喋れない。ないものを、あると言うのが誠意であること、身にしみて分かっていることだけれど、それでもないものは見つからないのであって、一生懸命喋るけれど、到底何にも追いつかなくて、底なしの気持ちになって。それでまたふと、昔の対策ワークのことを思い出したりもする。深さと高さ。懐かしい人からそれについて言葉をもらって、それがものすごく嬉しくて、嬉しいと同時に、知らない考え方などを、そうやって受け止められる綺麗さに泣いてしまう。わたしもそうあれたらよかったのかもしれない。そうやって透き通って、色々な光を反射して、自分自身も光りながら、彼女は何があっても綺麗に生きていくだろう、転がればからころこつりと澄んだ音がする、しっかりと強度と自分の輪郭を持っている。彼女がそうやって過ごしていられる世界でどうかあってくれと、そんな気持ちになる。

夕飯があまり食べられなくて、部屋にいたら知らない間に眠っていて、眠る前の文脈がちっとも思い出せないことが少し怖い。浴室を掃除するときに折り込んだズボンの硬い部分で腿の一部が鬱血していた。

さいきんは、しなければいけないことを思いついたら書き出して(そうしないと本当に忘れてしまうし思い出したようなときにかなり混乱してしまう)、その日それだけは、というふうにして日付の上を歩いているのだけれど、今日は際立って何も進まなかった。カードが見当たらなくて図書館にも行けなかったし、よって外にも出られなかったので葉書も出せていない。ストレッチだけはして寝よう。外からサイレンと、メガホン越しに人が叫ぶ声、あるいは可能性として、夜中のありふれた逃走劇そのワンシーン。