0925

寒さで目がさめるようになった。外の音が聞こえるのが好きなのでつい窓を開けたまま寝てしまうのだけれど、ただそれだけの油断が朝に痛みを連れてくる季節の分け目。日記を遡れば暑さで目がさめるようになったときのこともいつか書いていたと思う、日記というのは事後的には、比べるために存続するのかもしれない。

文字を追い、データを整理し、メールの返信を考えた。いやに足先が冷えて困ってしまう、靴下を履いても上を羽織っても指先は冷たいばかりで、まだ9月なのにと思う。アルバイトを一緒にしていた女の子に太極拳を勧められたことを思い出したりもした。お昼ご飯を食べてから、温めた牛乳を飲んで、自室で音の立たないようにゆっくりとラジオ体操らしい動きをしてみた。

きのう色を落とした爪に今度は淡くてくすんだ色を載せてみる。似合うと思って買った色だったけれど、最近妙に確信が揺らぐ。左手の小指、薬指には緑に寄った色、中指人差し指親指と、右手の薬指以外には茶色に近い色をのせてみる。空白に何の色を置いたら良いのか、何だか全く思いつかないでそのままにしておいた。

電話面談だった、いろいろ聞いているうちに絶望的な気持ちが久しぶりに帰ってくる。生き残るとか、価値だとか、やっぱりどうでもよかったし、どうしても巻き込まれてやっていかなければならないことが今すぐ死んでしまうこととどう違うのかほとんど分からなかったし、電話の向こうの女性は矢継ぎ早にもはや私ではない私がいかにもう一つの会社に向いていないかをまくし立ててそれ誰の話ですか、そう聞けばよかったなと後にならないと気づけない私の愚鈍さ。極力人を傷つけないで、日々をゴシップ的な話題などにさらされないで、どこかで舞台とか、音楽とか、詩とかそういうものとつながっていることができるならなんだって良い。それがないなら無理に生き延びる気は今のところない、と書いたところで、あったところでなのかもしれないなと思った。

浴室を洗う担当になってきた。

演劇の動画を見終わった。80分のものを1週間くらいかけてすこしずつ見た。再生が止まった瞬間に家族が帰ってくる、出来過ぎなのではないかと思う。

右手の薬指に紫色を乗せた。濃いので浮いた。金色を乗せたら世界線がずれすぎたので全部剥がした。最近好きな組み合わせでもあって、前後関係としては連想のほうが後だけれど、なんとなくマエリベリー・ハーンを思い出すこともある。

天気予報が変わっていくから明日の約束は無くなってしまうかもしれない。