0410

動けない、ことがある。歩くことも話すことも本を読むことも動画を見ることも音楽を聴くこともものを考えることすら億劫になることすら遠くなっていって、何かをしようとするほど真っ白になってしまう神経伝達の仕組みをひとつだって知りはしないけれど、横になることしかできず、淡々と流れていく時間を眺めることすらできないで、ぼわりと重たい真っ白が遠ざかるのを、ほかの色が侵入する隙間が生まれるのを、待つという意識すら遠いから、ただ塗りつぶされるがままになってそこにいる。

悲しくなったとき、わたしにはただそこで眠ることしか残されていなかった。誰かの漠然とした死ねの対象は大抵わたしの中に住んでいて、曖昧な死ねをかき集めればわたし一人くらいあっさりと殺されてしまうことができるだろうと思う。きょうは外に出ることができなかったというだけの話。