0406

緩やかに非常事態が入り込んだ日々を歩く、一日に一度は一人にならないと崩れてしまうような気がした、空の色は鈍く重く、公園では子供達が駆け回っていた、少し遠回りをして図書館まで行く、コンビニにも入ったりするけれど、何かを買うこともできず、そのことを夜になって後悔するのだけど、そのまま図書館へ向かう。明日から運営が縮小される図書館にはマスクの子供が並んでいて少しにぎわっているような気がした、予約の本を受け取る、帰って読んだけどあんまり面白くなかった。

教会の前を通る。今まで住んできた場所の近くにはたいてい教会があって、だけど一度だけお寺の近くに住んでいたことがある。早朝、6時とか6時半になると鐘の音が聞こえてきて、夜明けが見たかったあの日や、眠れなかったあの頃や、誰かといた夜の続きに、ひとりやもうひとりとして鐘の音をぼんやりと眺めるような日々がこんなにも早く終わってしまうだなんて、気づかないふりで逃げ切れるとあの頃は本当に信じていた、嘘じゃなかった。

半径五百メートル以内に図書館が帰り道、あることがわかって安心するようなこと、人生になくたってよかった。犬の散歩をするあの子を見かけた気がしたけれど声はかけられなかった。気の早いつつじが立体の目を開こうとしていた。

低気圧の頭痛は島の東西を問わずにやってくる、夕方、頭がどうしても痛くなって寝てしまう、そうしてみた悪い夢でわたしはみんなに置き去りにされてしまった、小雨に濡れたアスファルト、バイクで遠ざかる影。起きればとうに日が暮れていて、眠るのが怖くなる。