0405

しばらく日記を書いていなかった。代わり映えしない籠城生活に閉じ込められて、一日のほとんどの時間を部屋で過ごしている。メールやお知らせを確認して、説明会の動画を見て、エントリーシートを書いて、というようなことをだらりだらりとぶつ切れに続けて一日中暮らしている。当然気力は持たないので、借りてきた本にすぐに逃げてしまう。そう遠くないところにある公立図書館がいまの生活の大事な支えになっていて、やはり感染対策のためにカウンター業務だけの開館になっても言い訳のように本を予約し、取りに行き、また返しに行く。職員の人たちはいつもよりせわしなく動き回っているように見えた。マスク越しに記号のやりとりを行うことが、他人との数少ない接点だった。たったひと月で話す声も小さくなった、必要ないからだ、家族の前では冷静な自分である、十八年間の積み重ねに背を向けて過ごした四年間でようやく自由に喋れるようになった気がしたけれど、こうして帰ってしまえばぜんぶ嘘だったみたいに何も言えなくなるから恐ろしくなってうまく眠れない。暖かくなったから夜にベランダに出ることだってできる。公園まで行けたらいいのにと思う。考えることがすぐに重力のことを忘れてからまわりするから、このままでいれば空気の抜けた風船みたいに、いつか駄目になってしまうようなそんな気がして。