0307

緊張が続いていた。午前中から疲れていた。落ち着かなかった。いつもは余裕で食べられる食堂のカレーを半分も食べられなかった。緊張していた。流石に状態異常だと思って、でも何科にかかればいいんだろう。家に帰ったらどっと疲れが出た。夜ご飯はどうにか普通らしく食べられた。今は昼間よりはましで、帰りの電車で見かけた犬のことを思い出したりする。布の鞄から除いたふわふわの毛並みが動いたときの、世界に隙間が生まれたような、そこに柔らかい風が吹いたような気持ち。一瞬犬のロボットなのではないかと思って、そう思って見ているとだんだん本当に犬のロボットに見えてくる、そういう残酷さかもしれないことを思ったりもする。ペンギンの形のチョコレート缶を買って帰った。渡すためのもの。がらくたみたいな音の塊を掻き回しても当たり前にがらくたのままで、だけどいくらか緊張より遠くにいられたみたいだった。