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ずっと持っていた絶対的な憧れの一部が既に欠けていて、それはもう永遠に失われている。急に気がついた。指針だったらしい。空洞が細く空いていた。体をかがめて覗いてみたが、普通に部屋の床が見えるだけだ。先に続いている時間軸に、ずっとみていた重力がない。ぽっかりと開けていて、まるで密度がない。もともと内実のなかった引力の輪郭すら失った時間軸とは別の方向へ、トロッコは音もなく運ばれていく。現実にはそちらの方がむしろ時間軸と呼びうるものなのだということに、急に気がついた。悲しくも心細くもないことを残念に思って、そのまま意識は浮遊している。