0218

頭が痛くて、痛くて寝て、目が覚めても起きられないのも久しぶりにやった気がするけれどそうでもないのかもしれない。喉が渇いたから水を飲みたくて、向こうの部屋できゃあきゃあ騒いでいる家族の声が耐え難いからせめてドアだけでも閉めにいきたくて、指一本も動かなかった。動かなければいけない 一人暮らしの頃であればこのまま今日は生活を放棄していたところだった あるいは人間であることを放棄して活動していた けれど今はもう人間としてかつ動かなければいけなかった しばらくの間待って、待って、やっと動かしてみようかなと思った足指はあっけなく動いた。腕は動かない。脚も動かない寝返りも打てないので起きようとすることができない。私の中で意味を持ってしまうと駄目だった。自分に絡みついている重みの一つ一つを分解しようとして、これは私の中にしかないものだ、とわかるので諦めた。意味のある動きができないのなら、無意味にごまかしていくしかなかった。足の指を無為に動かし、手の指を無為に動かし、自分を騙すようになんとか起きる。ロフトベッドを降りたら第一段階はクリアなので、うずくまることを私に許した。フローリングの上を這って歩く。壁に寄りかかって、立って、ドアを開けたら這うことはできないので色々なものに寄りかかりながら移動をする。浴室に行き栓を抜く。部屋に戻る。少しずつ人の形を取り戻していくのがわかる。私なんかが人の食事をして、烏滸がましいなと思う。