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鳥の声がちらちらと瞬く、すこし遅れて蝉の震えが色もなく重なる。遠くでバイクの音が空気をかき混ぜて、朝がゆっくりと這いのぼってくる。

夢を見た。実家のインターホンが鳴る。無視していたが、なんどもなんども鳴る。耐えかねて、私が出ますと言って受話器を取ると宅配便で、知らない小太りの男が笑っていた。何か頼んだっけ、と訝しむ家族を横目に、私には想定が付いていた。案の定、小さなモニターには宅配員の指から吊るされたコンビニのバウムクーヘン(チョコレートがかかっていたので本当はドーナツだったかも)が映されていて、どうやって誤魔化そうかと考えていた。

目が覚めると、家族が楽しそうに朝食の用意をしている声が聞こえていつもの寝たふりを継続。食べ終わって三々五々に散った気配を見送って、その時初めて「起床」をした。蝉は鳴いていない。カラスが数羽鳴いているのが、エコーみたいに響いて聞こえた。

何も考えないと穏やかでいられる。何も考えないでいられる場合ではなく、明日にはまた考え始めないといけないこと。明後日には足を運ばなければならない場所のこと。風に吹かれて関節の所在を思い出す。文字這う文字這う文字這う

 

 

 

昨夜は後輩の子たちと通話をしていた、いろいろ話したけれど話した後に特有の濃い後悔と自己嫌悪。節度。節度が必要。目が覚めるとスコール、雨喝采、世界のぐるめきぐるめく世界、abcにはつかない序列が123には与えられてしまうこと、あるいはその逆のこと。

椅子に座って何かをするのがえらく億劫になるときがあって、そうなると選択肢は寝床の一択に集まってしまうのだけれど、そうなったが最後当然の帰結として睡眠へと辿りつく。目が覚めるとかなり汗をかいていて、暖色の電灯が熱のように見えてしまう。部屋は狭く、さまざまな事情から冷房をつけるとありとあらゆる扉という扉、を開かなければならないことになっていて、また鉛筆の音すら通り抜けるような環境で隠し通すこともできないので、ぎりぎりまで粘るといった事情。何もかもが面倒に思えて、けれども面倒であることは対等であることと近く、元気を得つつあることだと思っても良いとかそういうことにしたい。