0219

削ぎ落としていって最後に残るものが本当の自分なるものであるならば、私はなるべくそれには近づきたくない。私の希望はそもそも不完全にあり、あるいはかろうじて気を緩めればもっとも失われやすいところに位置している。確実に実在から離れていくのに体は少しずつ老いていく。そうして崩れていく可変のものたちのあとに残るものだけが天使になれるような気がしている。いい歳して何にしがみつこうとしているのかと常識が嘲笑するが、どちらにせよ肉の藻屑になることが美しいとは思わない。