(0813)

雨が降っていた。久しぶりの友達に会った。卒業以来になっていた。細い階段を登って茹でられた麺を食べておいしかった。雨が降っていて、お互いに財布を探していたのに財布だけが見つからなかった。

その後少し時間があって、一人で入ったドトールには台風の気配が流れ込んで良い重力、店員さんの雑談が小さく聞こえる。本を読んでいた、先日教えてもらった本。

少し暗くなった時間に電車に乗り直してすぐに降りる。雨が強くなっている。色と光に濡れた坂を歩いて降りていく。群青に近づいていく。水溜りを蹴ってしまいスカートに水がかかる。地図を見ながら進むと、人が吸い込まれていくところ、光のあるところ、目的地に人が集まっていて、まず初めに会った顔が嬉しい人のものだったから安心できた。おそらくお互いにほとんど面識のなかった人に友達の名前で呼ばれて、そこが混在するのかと不思議な気持ちだった。嬉しさは失礼。

不思議だった、続いているということが、あの人やその人がそこにいるということがどうしようもないくらい嬉しくて混乱した。自分の近況のみっともなさを顧みてそれでも傷つかなかった、胸を張れなくてもそこにいられて不思議だった。何かを踏み躙るようなことをしていなければいいと思う。感情の器はあまりにも小さい、混乱ばかりしていた。多分嬉しいだと思う。知っている顔と記憶が地続きに新しい今として現れるとき、それは私の中で強く光る、めくるめく光のすべてにどうしようもなくなってとても大きい光に出会ってからは泣いていた、不思議だった、それぞれのあなたがここに、会場じゃなくてもここにいてよかったと思う、冷静になったらもっと、話を聞けたらよかったとか、自分の感覚に振り回されている場合じゃなかったとか、全然上手く話せなかったとか、でも昔よりはましだと思うのは幻想かもしれないとか、全然話したことがなかったはずの人となぜか話せたとか、こんなにも普通に会うことができることがやっぱり不思議で、すごくて、どうしようかと思った。外は雨が降っていたけど大丈夫だった。濡れて帰ってもいいと思える日は自分がだいぶ生きている日だと思う。