大きい会場は初めてで、あまりにもいろいろなひとがいるので不思議な感じがした。雨雲の匂いがして少し湿度の高い廊下を人の少なくなる方へ歩いていた。

スモークを焚かれた会場の2階、いわゆるスタンド席から流れていく人がよく見える。わくわくする気持ちが素直にあって、衝撃を受けるような何かがあるのか、期待は裏切られて置いていかれるのか、わからないから少し不安だった。照明が暗くなって、演奏がはじまるとみんな立ち上がるのだということすら今日の今日まで知らなかった。

音楽を体でどのように受容しているかはきっと人によって違って、それでもみんな同じ動きをするしかない窮屈さと、それでも身体的に出会うことで見える違った景色が新鮮だった 揺られながら揺れながら、行ってはいけない場所なんてないはずだったなと思う、あまりぴんとこなかった曲でなぜか泣いて、変な気持ちだったあれからどれくらいの時間が経ったのか 規制退場を見送り最後の方になり、駅までの道で雨に濡れてもいいなと思えて生きている感じがした とてもした

帰りの駅ではみんなその人たちのことが好き、たくさんいることはずっと知っていたけれど、目の当たりにすると守られているような気持ちになる(その安堵が危うい感情に繋がっていることを理解して)ひとりひとりの集まりであることがわたしにはずっと大事だった

赤信号のぬかるみに手を突っ込んでべたべたした光を手が指が わたしの