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一枚の紙を刷るためだけに会社に行った 満員電車に乗るのはいやなので、お昼に出て、日の沈む前に帰って、帰ってから仕事 必要であることはなんとなくわかる、必要というか しかたなさみたいなものがそこにあることは、ちゃんとわかっている 制度上何も問題はないはずなのに、昼間って白いんだなと思いながら、なんだか悪いことをしている気持ちになって、そんな気持ちになるならわたしはこうする必要があったのだと納得をする 斜め前に座っている、真っ黒い服を着た女の子の髪はさらさら 電車に乗るといつもでんぐり返しをしたくなる 車両の振動は、生き物の蠕動 とは 異なり………(夜は謎のモジュラーシンセサイザーと戦っていた、シンセサイザーのことなど何もわからないのに。こちらに帰ってきたばかりの春、停滞と沈黙が水色に染めていたこの世で一番澄んでいた春に、初学者用のコンテンツを見ていたことがあったけれど、途中で振り落とされてしまって何度かやるうちに諦めてしまったことを思い出している 実はそういうことばかりだった)楽しみな本屋さんの開店がいつになるのか決まるのを楽しみにしている。大事な記憶である人の公演のチケットが取れなくて悲しく、その喪失感をどこか懐かしいものに思った。