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買おうか迷った故人の詩集は一晩で売り切れてしまっていた。もっと迷っていた人の手に渡っていたらいいなと思う。

研修があった。なんとか力、なんとか力、そこに出てくるものがこの世の全てだと思わないこと。その外側かあるいは隙間に私が大事にしたかったものが埋まっていること、あっという間にかき消されてしまいそうな恐怖だった、彼らが差し出す物差しで測れば私は欠陥品だ。それの何が悪い。脱出計画を立てなくてはと思うのだけど、逃げるとしたらどこへ逃げるというのだろう、それがわからないのだった。ただ穏やかに生きていきたいと思った、私の星のことを忘れないでいたいと思った、あなたの価値観を計りましょうというワークで、やっぱり一人だけ選ぶ言葉の系統が周りと噛み合わないことを、誇りはせずとも大事にしていたい。