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塗ったそばからにじむアイシャドウ、カメラのオンに気づかないまま画面の前で化粧を披露する女の子。あまりそういうことばかり考えたくはなくて、目の前に並べた刺繍の背表紙その輪郭の凹凸を視線でなぞるのが精一杯。信号機をたくさん選びました、今週は。少しずつ支給のパソコンにナイズドされていく指に抵抗するように自分のパソコンのキーボードを夜になると開く。週末が来れば箱にしまう。こうしていれば大丈夫だけれど、いつまで続けていられるのかもわからない。訪れた土曜日は二回中二回とも鬱屈とした気持ちで外を歩いていた。

理由がないことだってあるよって言えていたい 嘘の日記でも書こうかなあ

なんだっけ 今ものすごい書きたいことあった なんだったっけと思いながら道すがら見かけた光や影のことばかり思い出してとりとめもない、記憶がなければ時間がないから瞬間移動は可能だった、葉が硝子細工を集めたみたいに光を含んで眩しかった。

あー そうだ 焦りはなくなったのだった、なぜならもう終わってしまったからだ いつも何かに追いつかれてしまうのを恐れていたけれど、もう捕まってしまったので終わりに怯えることもなくなった そのうち別の敵が現れるのだろうが、今は延々と続く余生のようなぬるい憂鬱を味わっていたい きっとそれもいつか失くす