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今通っているオフィスの同じ階を使っているのはみんな同じチームの参加者で、そのうちお昼時間に休憩室を使うのは今のところ私だけのようだった。そら豆のような曲線のテーブルがふたつと1人掛けの椅子がいくつか、部屋に入ると知らない人が、他の階から逃れてきたみたいにいつも同じ人がいつでも少し早くいて、少し早くいなくなって私はひとりでぼんやりすることができる。ここにきてはじめて『三月の5日間』を読んでいる。なぜ今になってなんだろうと思いながら読んで、文体に思考は侵食される、下の階と吹き抜けみたいになっていてアクリル板越しに見下ろせる、そこも休憩室だけれど上の階であるこちらよりも四角い机、四角いブース、透明な板が四角く区切って女の人たちが規則正しく窓の方をむいて食べているお弁当の中身が、ここからよく見える。見られていることに気づいているんだろうか。落ちようと思えば私はここから落ちてしまうことができる、誰かのごはんがめちゃくちゃになることもある、紙飛行機を落とすこともできる、角は丸めておかないと誰かが怪我をしてしまうかもしれない。警報って本当ですか、雪がまた降ればいいのに、たまの雪なら街がもっと真っ白くなったらいいのに。