0903

駅の改札を通ったとき誰かがひどく泣いていたような気がするのだが、そのような余波の人は見当たらなかった。

過去と未来が混ざり合うような気分で純然たるいまが脈として連なり、いまはどこ、現在とは、懐かしいとも違いこれは紛れもなく新しいのに、安心だけが先にあるから不思議でしかたがなく、澄んだ嬉しさは得て良いものかわからず、したがって少々不安な日々だ。

電車に乗って少し遠くまで来た。ほんとうは三度目の正直。ほんとうにほんとうに小さいころの友達が昔このあたりに住んでいて、同じ電車に乗って会いに行ったこともある。車窓の中身はいつのまにか開けて、その子はもう実家を出たと聞く。