0212

天気予報を開くのも久しぶりだった。雲の内側か外側かでいえばまちがいなくこちらは内側じゃないだろうか、現に陽光からまもられる道を図書館まで徒歩五分。

そわそわしさに負けてせっかく借りてきた詩集もうまく読まれない、言葉だけがあっという間に口に移って語調が変わる変わります冬の、よく知っている、すぐそこに並んでいる詩集を私はどうしても借りたくて借りた。

夕食後の食器を洗うのは私の割り当てで、冬になって手が荒れるのでゴム手袋ごしにお湯やスポンジ、泡と戯れている。と、次第にさかいめがわからなくなって、ぬるむゴムがまるで私の皮膚みたいになって、食器のかたさつるつるさがじかに私の触覚にやってくるそのぴとりとした異様な感覚が数少ない笑いどころになったりする。内側が私か、外側までが私か、ぴとぴとと新種の生命体みたいな私のふちどり。