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二つの面接があって緊張に次ぐ緊張、そのどちらもすこしいつものものとは心構えが違っていたから尚更に動揺してしまう。上半身だけリクルートスーツに着替えた間抜けな姿でカメラの前に座る。唯一制服があった中学生のときに一切着崩さなかったのを回収するかのような気分で俗、あまりにもどうでも良い。どちらもが終わったとき、行き場のない不安と安堵でやりきれない思いにかたちを見立てて口紅を塗る。濃い色をした固形がするりと溶けていく。落とし穴の上に駆け出してしまったような浮遊感で、暗く沈んでいく窓の外で何度も鳴るクラクションを聞いた。

夜、すこし気がはやっていて、懐かしい人たちと通話をしていた。ことばが軽やかに跳ねて心地良く、こんなに笑った顔でいることはほとんどなくなってしまったから頰が痛くて、見つかればひどく怒られるか呆れられるかしてしまいそうな時間まで居残ってしまって、幸せだった。

だからほんとうは5月2日の夜に書いている。きのう塗った口紅が見当たらなくて、書いている。