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強風でベランダに干した服がひっくり返る。春にしても濃すぎる熱がぼうぼうと音を立ててそこにある全部を打ちのめしていく。

少しひさしぶりに会う友達と先輩と、話したり賑やかなものを見たりした。行き来するいろいろな人たちの近況の噂に世界の網目の広さを知ってぐらぐらとした。正しいって何だっけ、前と後ろってどっちとどっち、疎遠になるつもりなんてなかったのにな、どうしてそうも、閉じて、いやそれも一側面に過ぎなくて、きっと閉じる以上に個々は開かれて、そのすべて私には位置付けられない宇宙だった。

楽しかったし、会えて嬉しかったし、元気そうで安心したのに、帰り道でさみしかった。そうだ、さみしいってこんな感じだった、長らく遠ざかって忘れていた、いまの体はどんな状態? 欠落とは形のことではない、脱力感、何かを掴みたくなる感じ、境界が溶けて形を支える質量がとくとくと流れ出ていきそうなくせして輪郭が冷たく確固としてある感じ、手足の軽さ、普通をするために見開こうとする瞼のちょっとした重さ。

今しかないなんて呪いでしかない言葉を小さい子どもに言い聞かせるなよ。