1031

朝。いつまでたっても、食卓から声が聞こえると起床を躊躇ってしまう自分がいる。

よく晴れていた。10月31にちだからオレンジ色のアイシャドウを塗った。外には一歩も出なかった。

シャワーを浴びながら、ふと、下瞼の上の粘膜のことに頭を捉えられた気分になった。人に利かせれば誤解を産みそうな物言いにはなるけれど、色々なその粘膜を見てみたいような気がしてそのことばかり考えていた。

においのあまり好きではないヘアオイルを早く使い切りたくて連日使っているだとか、ドライヤーがいつもより妙に重たい気がいつもするだとか、なんだって安いものしか使っていない、なんだって。唇が荒れている。爪を塗る。机の上に置かれた鏡の中で、キーボードを打つ指が光る。この鳥の音は誰のものだったろう。どうしたって情けないなと思う。明日の言い訳を考える。いつも通り予測変換が暴発する。

無茶なト書きが可能になる条件について考えている。無茶だけれど、映像にしてしまえば意味を失ってしまうような、そういうト書き。

配信の4回目にアクセスする。最終回。そう言えば今日は月がどうこう、これから家族が寝静まってからベランダに出て、間に合うだろうか。そういうことも思う。