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ふと思い立って、非常階段をたくさん登った。弊社はオフィスビルへの入居形態がややこしいので、n階とn+m階は入れるけどそれ以外は駄目みたいなことになっていて、なので1回登りはじめたら登りきるか振り出しに戻ってエレベーターに乗るかの2択しかなくなる。果たして試みは休憩なし5分程度であっけなく完遂したものの、目的の階にたどり着く頃には心拍数がかなり上がっていた。食後に少し動くと眠気に襲われにくくなると少し前にインターネットで見たから、眠くなったらエレベーターでn階まで降りて、非常階段でn+m階まで登ると良いのかもしれない。食後すぐに動くとお腹が痛くなることもひさしぶりに思い出した。

非常階段と言ってもビルの外側についているようなものではなく外の景色もほぼわからないと言って良いような状態なので、基本的に登っているときの視界は常に一定だった。飽きるかなと思っていたけれど、ほんの5分程度では別に飽きない。普段から頭の中が存在の8割を占めているので外界でバランスを取り始めるまでに時間がかかり、5分程度であれば多分そこに至らないまま終わって終わっているということのような気がする。いわゆるリミナルスペース的な感じで、時折上や下から扉の開く音と誰かの足音が聞こえるが、最後まで誰ともすれ違わない。

小学校の頃の友達が住んでいた集合住宅の階段を思い出した。上階に上がるには道路の方に向かって露出した階段を上るしかなく、それが嫌なら子供心に少し恐ろしく思える古びたエレベーターを使わなければならなかった。何度か遊びにいった記憶はあるけど、そのときは結局どうしていたんだっけ。集合住宅はとっくになくなっていて、思い出しに行くことができない。