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小さい頃に見たなぞなぞで、乗るとお医者さんが死んでしまう乗り物の答えとして初めて寝台車を知ったときから、今に至るまで寝台車はどこか不吉な印象を携えている。真夜中、遠い山間を思うとき、あの世との境界をそれはかたことと滑り過ぎていくような気がいまだにしてしまう。こういう思い込みはこの世の至る所にちりばめられていて、ときどき人を死なせたりする。

外は明るく、作業は穏やかだった。この時期なので評価のための面談が予定されており、記入票を見るだけで吐き気がするほどの緊張が体の奥で揺れ始めて、何も変わらない当たり前がそれなりに愉快であったりする。